"ADOLFO"
Guatemala / Fully Washed
透明なステージに歌うようなフレーバーの甘美さ。
トラディショナルにして複雑な、飽きのこない魅力。
“Adolfo” Bourbon FW
生産国:Guatemala
エリア:Antigua
農園名:San Jose Buena Vista
標高:1,450-1,600m
品種:Bourbon
精製処理:Fully Washed
Cupping Comments:
Transparent, Complex, Crisp, Floral, Jasmine, Tea-Like, Guava, Malic, Orange Peel, Sugarcane, Sweet Long After, Improve
評価:Top Specialty Coffee
農園と生産者について
サンホセ・ブエナビスタ農園はコーヒー生産業に長く身を置くアドルフォ・エルナンデス氏により1980年に設立されました。2000年頃から息子であるホセが農園業務改善に、その妹のカレンがQグレーダーとして品質管理に加わったことでスペシャルティコーヒー生産に特化し、現在の体制を築きました。
彼らの農園はアグア、フエゴという活火山に挟まれた立地の斜面に位置し、極めて優良な鉱物性土壌を誇ります。さらに2022年からはより気温が低い高標高の小さな農園群を支援。1ヶ月ほどの収穫時期のずれを利用し、彼らとの協業から優れた集積ロットを誕生させています。
こうした取り組みの中、アドルフォのチームは現地生産者のインプット・アウトプットの両面を押し上げる存在として尊敬を集めるほか、彼ら自身の品質もまた磨き抜かれることで現地アンティグアのコンテストにおいて上位入賞の常連となるまで成長を遂げました。
品種と精製処理について
エチオピアから持ち出された原種ティピカから18世紀はじめに突然変異した、ティピカに比べやや小ぶりのアラビカ・コーヒー。ブルボンの名は、その誕生の地とされるフランス領レユニオン島の通称によるものです。ブルボンの中でも数種類のバリエーションがあり、さらに突然変異や交配、改良を経て今ある多くのアラビカ・バリエーションの大元となった品種です。
FWこと水洗式精製は、収穫されたコーヒーチェリーの果肉を早い段階で除去、その後短時間の発酵・洗浄プロセスを持つものです。選別、果肉除去、設備間の水路、発酵層、また水路と全ての工程で大量の水を介するため、この農園の優れた水質はアドバンテージになります。
その後アフリカンベッドと呼ばれる通気性の乾燥棚で通常1-2週間、適正な含水率になった時点で内果皮(パーチメントと呼ばれる硬い皮)を除去すると、瑞々しいシアンの生豆が完成します。
中米において最もトラディショナルで、実績が積まれたFW精製。そのコーヒーは総じてすっきりと整った酸質となり、複雑なフレーバーを有するものほどそれらが透明感をもって魅力的に感じられる可能性を持ちます。
王道の品種と、王道の精製。
スペシャルティコーヒーの評価基準は本来「カップクオリティ」にフォーカスしたものですが、近年は流通商社による取り組みが良くも悪くもそのマーケットを支配するようになり、業者同士の販売競争の中で品質・スタンス両面で本来あるべき場所を離れた提案も散見されるようになりました。
品質の及ばない点を装飾的な加工を伴う精製で上塗りしたり、あえて視点を変えたような付加価値から派手な言葉がちらつく現代のコーヒー業界。
しかし一方で愚直なまでに「From Seed To Cup」の本質を達成したスペシャルティコーヒーはブレることのない取り組みの中で生産され、今なお磨かれ続けています。ホセ、カレン、そしてアドルフォとはそんな生産者だと感じています。
コーヒーの印象について
すっきりとしながらもコンプレックスでジューシー。リンゴ酸やジャスミン、ブラックティー、オレンジピール、グァバといったフレーバーが透明感の中で代わる代わる現れては調和し、長く後を引くサトウキビのような上品な甘さでフィニッシュします。
アドルフォのコーヒーは性格の異なる複数ロットを試飲しましたが、いずれも上品で濃密な甘さが印象的でした。
少量多品種を展開し、一時最大で40銘柄をストックしたこともあるシエロ。その中でもアンティグアとウィラ(コロンビア高地)は、ロースターの個人的な好みから特別な産地です。
傾向としていずれも軽やかで透明感があり、優れたフレーバーに特徴があるロットはそれぞれ華やかで素晴らしいカップを形成します。
グァテマラといえばウェウェテナンゴ地区の重厚なコーヒーが有名ですが、本品のような良質なロットはFW精製のお手本のようで飽きがこなく、いつも手元に置きたくなる魅力を備えています。
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